CBDを主成分とする治療薬の中で、医学的に認められ、各国の規制当局によって承認された代表的なものを紹介します。
1. エピディオレックス(Epidiolex)
承認国・機関:
- 米国食品医薬品局(FDA)(2018年承認)
- 欧州医薬品庁(EMA)(2019年承認)
適応症:
- ドラベ症候群(Dravet syndrome)
- レノックス・ガストー症候群(Lennox-Gastaut syndrome)
- 結節性硬化症(Tuberous Sclerosis Complex, TSC)
概要:
エピディオレックスは、難治性てんかんの治療薬としてFDAに承認された最初のCBDベースの医薬品です。特に、従来の抗てんかん薬では発作を抑えられなかった患者に対して、発作の頻度を大幅に減少させる効果が示されています。この薬は、純粋な植物由来のCBDを有効成分とし、経口溶液として使用されます。
2. サティベックス(Sativex)
承認国:
- 英国(MHRA)
- カナダ(Health Canada)
- ドイツ、スペイン、イタリアなどの欧州各国
適応症:
- 多発性硬化症(MS)による筋痙縮(スパスティシティ)
概要:
サティベックスは、CBDとTHC(テトラヒドロカンナビノール)を1:1の比率で含む口腔スプレーです。多発性硬化症(MS)による筋肉のこわばりや痙縮(スパスティシティ)を緩和する目的で使用されます。CBD単体ではなく、THCとの組み合わせによって症状を改善する効果が期待されています。
その他のCBDを活用した治療薬の研究
CBDは、てんかんや多発性硬化症以外にも、以下の疾患に対する治療薬として研究が進められています。
- 神経変性疾患(アルツハイマー病、パーキンソン病)
- 精神疾患(不安障害、PTSD、統合失調症)
- 炎症性疾患(クローン病、潰瘍性大腸炎)
現在、さまざまな臨床試験が進行中であり、新たなCBDベースの医薬品が開発される可能性もあります。